本を読んで、なるほどと膝を打つ。
講座を受けて、明日からやろうと決める。
なのに、できない。
「知識はあるのに、できるとなると別なんです」——お店でも、本当によく聞く言葉です。今日は、この「分かる」と「できる」の間にある距離のお話です。
「分かっている」は、案外あてにならない
スタッフと話していて、こんな結論にたどり着いたことがあります。
頭で分かったつもりの理解は、浅い理解。浅い理解では、行動は変わらない。
耳の痛い話ですが、思い当たりませんか。
「分かってる、分かってる」と言いながら、同じ悩みを何年も抱え続けていること。
知識として知っていることと、自分の身体を通って腑に落ちていることは、別ものなのです。
浅い理解のままでは、できなくて当たり前。あなたの意志が弱いからではありません。
思い込みのフィルターに気づく
距離が生まれる理由のひとつが、思い込みです。
私たちは、人の話を聞くとき、無意識に自分のフィルターを通して処理しています。
その結果、受け取った内容が「自分の世界だけの正解」にすり替わってしまうことがあるのです。
だから、人の話はこう聞いてみてください。
「この人が言いたいことの、本当のところは何だろう?」
すぐに分かった気にならず、いったん保留して味わう。
理解しようと力むより、「何となくこういうことかな」という感覚を大事に受け取る。そのほうが、あとからスッと腑に落ちる瞬間がやってきます。
「できる」への鍵は、自分を知ること
そしてもうひとつ、大切なことがあります。
スタッフとの会話の中で、私が何度も立ち返った言葉です。
自分がつくりたい世界も、自分が望んでいることも、自分を知らないとできない。
どんなに立派な方法を学んでも、それが「自分に合うやり方」でなければ続きません。
何が好きで、何が苦手で、どんなときに力が出て、どんなときに折れるのか。
自分を知らないまま正解だけを集めるのは、サイズを測らずに服を買い続けるようなものです。
できない原因は方法ではなく、測っていないことのほうにあるのかもしれません。
葛藤しているのは、進もうとしている証拠
「こうなりたい自分」と「現実の自分」の間で苦しいとき、人は自分を責めがちです。
でもその葛藤は、あなたが本気で進もうとしている証拠でもあります。
何も望んでいない人は、葛藤しません。
分かっているのにできない日々は、停滞ではなく、理解が深くなっていく途中の景色です。
まとめ——「できない」は、自分を知る入り口
できない自分に出会ったら、責める代わりに、こう問いかけてみてください。
「私はまだ、何を分かっていないんだろう?」
「私に合うやり方は、どんな形だろう?」
分かるとできるの間の距離は、自分を知るほどに縮まっていきます。
生きていれば、試せる道はいくらでもあります。今日の「できなかった」も、その一歩目です。