あの人はすごいなあ。私には無いものだなあ。

欲しいものを手にしている人を見るたび、自分とは遠い世界の話のように感じる。わたし自身、手に入れたいものがなかなか見つからなかった頃、「これが自分なんだから、しょうがない」と思っていました。

でも今ふり返ると、足りなかったのは力でも才能でもなく、受け取る力だったのです。

「私には受け取る価値がない」という前提

たとえば、頭脳明晰で怖いもの知らずの弁護士を演じる役者さんを想像してみてください。

心のどこかで「私なんかがこの役を……」と思いながら演じていたら、観る人を物語に引き込むことはできません。なり切れていないからです。

人生でも同じことが起きます。

「私はこれを受け取る価値がない」と思った時点で、心は静かに「できない」と決めてしまう。すると、欲しかったものがすぐそばに来ても、自分から受け取りを拒んでしまうのです。

手に入れても、手放してしまう心のクセ

「いやいや、目の前に来たら両手で受け止めますよ」と思うかもしれません。

ところが、一時的に手に入っても、心の奥の拒否は強いもの。

  • - こんな人が私のそばにずっといてくれるはずがない
  • - このお金がずっと続くわけがない
  • - 私にお店なんて、きっとうまくできない

「ずっとは続かない」という前提が、せっかく届いたものを自分の手で遠ざけてしまいます。店頭でお話をうかがっていても、新しい一歩の前で「私にはきっと無理」とつぶやく方は、本当に多いのです。

恐れに名前をつける

この前提は、意志の弱さではありません。たいていは、気づかないうちに自分へ貼ってきたラベルです。

だからこそ、はがす作業は自分でできます。紙に書き出してみてください。

  • - 私は何を恐れているのか
  • - 何を信じていて、何を信じていないのか
  • - 自分の力を「ここまで」とどこで決めているのか

書いて眺めると、漠然とした「無理」が、向き合える課題に変わっていきます。これも自己理解のひとつ。心のセルフカウンセリングです。

まとめ——受け取る側の手を、開いておく

欲しいものが手に入らないと感じたら、努力を足す前に、まず「受け取りを拒んでいないか」を確かめてみてください。

「私には価値がない」というラベルを一枚はがすたび、同じ景色が違って見えてきます。受け取る手さえ開いていれば、人生の道は一本ではありません。今日閉じていた手が、明日開くこともあるのですから。