「肝心なところで、言葉が出てこないんです」
面接、初対面の人との食事、ずっと会いたかった人との時間。大事な場面ほど頭が真っ白になって、何を話していいか分からなくなる。
もしあなたにも覚えがあるなら、今日は店主のわたし自身の、ちょっと恥ずかしい昔話をさせてください。
憧れの人の前で、何も話せなかった
わたしがまだ、自分のことをよく知らなかった頃の話です。
どんな人が自分に合うのか、そもそも自分が何を好きなのかも分からない。「わたしには価値がある」という感覚——自己価値がとても低くて、自分に選択権があるなんて、思ってもいませんでした。
そんなとき、友人の計らいで、「格好いい」と言っていた憧れの人と会えることになりました。
ところが当日、言葉がまったく出てこないのです。
せっかく大人びたお店に連れて行ってもらったのに、たいした話もできないまま解散。本当に、何ひとつ話せませんでした。
大失敗が教えてくれた「受け身」の正体
家に帰って、わたしは気づいてしまいました。
自分は「ただ話を聞くだけの、受け身全開の人間」だったのだと。
それまで人と話せているつもりでいたのは、相手が話してくれていただけ。
チャンスが目の前に来ても、受け取る準備ができていなければ、何もつかめない——この大失敗のデートは、それをはっきり教えてくれました。
自己価値が低いと、選択権を手放してしまう
振り返ってみると、当時のわたしは「選ばれるかどうか」ばかり気にして、「自分が選ぶ」という発想がありませんでした。
自己価値が低いままだと、こんなことが起こります。
- - 理想はあっても「現実になるはずがない」と打ち消してしまう
- - 「好きだと言うなんて身の程知らず」と、願う前にあきらめてしまう
- - 寄ってきてくれた人に合わせるだけの関係を繰り返してしまう
これは恋愛だけの話ではありません。仕事でも、友人関係でも、自分を低く見積もったぶんだけ、人生の選択権を静かに手放してしまうのです。
「このままではいけない」と決めた日から
わたしはこの日を境に、意識して自分を変えていくことにしました。
何もしなくても自然に人付き合いがうまくいく人は、たしかにいます。でも、わたしはそうではなかった。
だからこそ、自分を知ること——何が好きで、何が苦手で、どうなりたいのか——を、ひとつずつ言葉にしていきました。
時間はかかりました。それでも、無理をせずに、好きな人から好きだと言ってもらえる関係にたどり着けたのは、あの夜に「変わる」と決めたからだと思っています。
言葉が出ないのは、あなたが弱いからではない
肝心な場面で言葉が出ないのは、性格の欠陥ではありません。まだ自分のことを、自分が知らないだけ。
自分を知れば、伝えたいことが生まれます。伝えたいことがあれば、言葉は自然とついてきます。
うまく話せなかった日があっても、人生はそこで終わりません。生きてさえいれば、やり直す機会は何度でも巡ってきます。
今日の小さな失敗を、自分を知るきっかけに変えていきましょう。