「人生を変えるきっかけが、私にはなかなか来ない」

そう感じている方にこそ読んでいただきたい、あるお客様の実話の後編です。
前編では、「ザ・幸せ」のかたちに自分を合わせてきたその方が、長く勤めた会社を辞めると決めるまでをお話ししました。

手放したあとの、まっさらな時間

会社を辞めたあと、その方は何をしていいかわからないまま、なんとなくヨガを始めたそうです。

そこで出会った先生に誘われて、日常から離れてゆっくり過ごす1週間の旅へ。会社員のままなら、考えられなかった決断でした。

旅先の自然の中で「10年後の自分は何をしていたいか、書き出してみよう」という時間があり、ペンを持ったその方は驚きます。

今持っているものの、ほとんどがいらない。

役職も、住んでいる場所も、積み上げてきたはずのものが、未来の自分の絵にはひとつも出てこなかったのです。

「私が私でいること」だけが残った

鳥の声があふれる自然の中で過ごす時間と、都会で役職をこなす時間。同じ1日なのに、まるで違う。

そこでその方が書いた10年後の姿は、「ヨガを教える人」でした。

帰国後、本当にスクールに通い始めます。そして円満にではありますが、結婚生活にも区切りをつけました。びっくりするくらい悲しかったけれど、「お互いが自分らしくいるために必要な痛みもあるんです」と、ご本人は言います。

会社も役職も結婚も手放して、何者でもない自分に戻ったとき、不安はあったけれど、びっくりするほど自分らしくなれたそうです。

ヒントは、ずっと出されていた

その方の言葉で、いちばん心に残っているものがあります。

「ターニングポイントって、実はすごくたくさんヒントをもらっていて、気づける自分になるまでに時間がかかっていただけだと思う」

きっかけは、突然降ってくるものではないのかもしれません。
日々の違和感、ふと心が動いた瞬間、誰かの何気ないひとこと。ヒントはずっとそこにあって、受け取れる自分になるのを待っている。

彩石屋でしてきたのは、石を選びながらお話をうかがい、その「気づける自分」になるまでの時間に、そっと付き添うことでした。

回り道が、ぜんぶ生きる日

その後その方は、子どもたちが自分の好きなことを見つけるための学びの場で、ボランティアも始めました。

長年勤めた仕事は、点数や成績のためのものでした。その経験があるからこそ、いまは「やりたくないことを続けてしまう時期があっても大丈夫だよ」と、子どもたちに伝えられるのだと言います。

やりきった時間は、無駄になりません。回り道に見えた道のりが、ぜんぶつながって生きる日が来ます。

まとめ——幸せは、今ここにある

「幸せは外にあるものじゃなくて、自分の中にあるもの。過去にも未来にもない、今なんです」

対談の最後に、その方はそう笑いました。

人生は、一本道ではありません。手放しても、降りても、戻っても、そこからまた何本でも道は伸びていきます。
あなたへのヒントも、きっともう届いているはずです。