年の瀬が近づくと、心がそわそわしませんか。
やり残したことを数えては焦り、新年の準備に追われて、今年がんばってきた自分をねぎらう間もない——。
今日は、そんな時期にこそ思い出したい「一年の節目のつくり方」のお話です。

毎年恒例、酉の市へ

彩石屋の毎年の恒例行事に、酉の市へのお参りがあります。その年は、三の酉での参拝でした。

手水で手を清めて本殿へ進み、まずお伝えするのは、お願いごとではなく「一年間のお礼と感謝」。

そして本殿を後にしたら、いよいよ熊手選びです。
熊手は、一年の感謝を形にして新しい年を迎える、昔ながらの習わし。これだ、と思える一本に出会うまで、毎年じっくり吟味します。

その年の一言は、「愛が一番」

彩石屋の熊手には、家内安全・商売繁昌・千客万来の札のほかに、毎年「今年の一言」としてその場で書いていただく札があります。

その年、自然と選ばれた言葉は——「愛が一番」

むずかしい理屈は、何もありません。お客様への愛、家族への愛、そして自分への愛。
迷ったときに立ち返る場所は結局ここなのだと、できあがった札を眺めながら、あらためて思いました。

黄金色の亀と、昔の人の願い

熊手の正面には、黄金色の亀が据えられていました。亀は古くから、長寿の象徴とされてきた生きものです。

亀の甲羅が昔のお金に似ていたこと、貯えに使った「甕(かめ)」が「亀」に転じたという説もあるのだとか。
由来をたどると昔の人の暮らしの願いが透けて見えて、なんだか微笑ましくなります。

節目は、自分でつくるもの

新しい熊手を迎えると、「今年もあと少し。一年、無事に過ごせた」と、気持ちがすっと引き締まります。

カレンダーが勝手に年を締めくくってくれるわけではありません。
節目は、待つものではなく、自分でつくるもの。

それは酉の市でなくてもいいのです。
一年をふり返って「ありがとう」を言う時間を、ほんの数分でも持ってみてください。湯のみ一杯のお茶の間だけでも、十分です。

まとめ——感謝で締めくくった一年は、次の土台になる

反省や課題探しは、年が明けてからで十分です。
年の瀬はまず、今年を歩ききった自分と、支えてくれた人たちへの感謝から。

感謝で締めくくった一年は、次の一年のやわらかな土台になります。
「愛が一番」——この言葉を、あなたの年越しにもそっと添えてもらえたらうれしいです。年はまた巡り、道はそのたびに、新しく開けていきますから。