あの人に言われた一言が、頭から離れない。
気づけば一日中、嫌だった場面を巻き戻しては再生している——そんな日はありませんか。

人間関係がギクシャクしている。理想と現実のすき間がつらい。
それはあなたが弱いからではなく、心の天秤がすこし傾いているだけかもしれません。

心にも、天秤がある

わたしたちの心は、よくできた天秤に似ています。

うれしいこと、しんどいこと、楽しみ、心配ごと。
いろいろなものを左右の皿にのせながら、ふだんは自然に釣り合いをとっています。

ところが、嫌な出来事がひとつ皿にのると、話が変わります。

嫌なことだけを見つめると、天秤はもっと傾く

不思議なもので、嫌なことほど、わたしたちはじっと見つめてしまいます。

見つめるほどに、その皿だけが重くなる。
心を閉ざして殻にこもったり、逆に相手を責める気持ちが強くなったり。どちらも、傾いた天秤がさらに傾いていくサインです。

物事を「正しいか、間違いか」だけで裁こうとするときも、同じことが起こります。
正しさの皿に全部のせてしまうと、心の釣り合いは崩れやすいのです。

一歩引いて、眺めてみる

そんなときに試してほしいのが、一歩引いて、天秤ごと眺めることです。

渦中にいる自分から、すこしだけカメラを引いてみる。
「いま、わたしは何に傷ついたんだろう」「相手には相手の事情があったのかな」と、裁くのではなく眺めてみる。

これは自分を抑え込むことではありません。
偏りのない目で全体を見渡す、心のセルフカウンセリングです。眺められた出来事は、不思議と少し軽くなります。

口にする言葉を、ひとつ替えてみる

もうひとつ、今日からできる小さな練習があります。

ふだん口にしている批判の言葉を、一日にひとつだけ、感謝の言葉に替えてみることです。

「また散らかして」を「片づけてくれて助かった」に。
「どうせ無理」を「ここまではできた」に。

言葉が変わると、皿にのせるものが変わります。
のせるものが変われば、天秤は自然と釣り合いを思い出していきます。

良いことも悪いことも、めぐってくる

人生には、良いことのあとに悪いことが、悪いことのあとに良いことがやってきます。

光と影のように、どちらか一方だけの毎日はありません。
だからこそ、悪いことの渦中にいるときも「これで終わりではない」と知っていることが、心の支えになります。

秋分のころ、昼と夜の長さがちょうど釣り合う季節に新しい月のサイクルが始まるのは、なんだか象徴的です。
季節の節目を、自分の傾きを見直す合図にしてみてください。

真ん中に戻れる場所を、持っておく

天秤は、傾かないことが偉いのではありません。
傾いたことに気づいて、真ん中に戻れることが大切なのです。

戻り方は人の数だけあります。眺めること、言葉を替えること、誰かに話すこと。
あなたに合う戻り方が、これからいくつでも見つかっていきますように。