「親のことが、どうしても許せなくて」

お店でお話をうかがっていると、この悩みには本当によく出会います。
外では大人の仮面を被れるのに、親の前では感情が丸裸になってしまう。親子だから、です。今日は、わたし自身の話も交えてお話しさせてください。

「もっとこうして欲しかった」という傷

親子の悩みをうかがうたびに、言葉の奥から伝わってくる気持ちがあります。

「お母さんに、もっとこうして欲しかった」。

お菓子を焼いてくれて、友達が来たらささっとサンドイッチを作ってくれる。漫画のような家族のイメージと、現実とのあいだにできた溝。
小さく見えて、大きな傷がそこに残っています。

その傷に絆創膏を貼れるのは、わたしではなく、ご本人だけ。お店でできるのは、そのためのわずかなサポートです。

わたしも、母を憎んでいました

実はわたしにも、母を本気で憎んでいた時代があります。

普通のことができない親のもとに生まれたことにがっかりして、「家族とはもっと素晴らしいもののはず」と、その運命を受け入れたくありませんでした。

19歳のとき、母に正面から昔のことを尋ねたことがあります。
いま思えば、聞けた時点で、心のどこかはもう許しはじめていたのでしょう。それでも、離れることの難しさも、許すことの難しさも、身をもって知っています。

恨みは、いちばん近い人に向かう

ここが、いちばんお伝えしたいことです。

親を憎んだり恨んだりしている感情は、放っておくと、いつか自分のパートナーにも同じ顔を向けてしまいます。わたし自身が、それを痛いほど感じました。

まだ親のことを離れきれていなかった頃、出会ったばかりの夫に「不幸そう」と言われたことがあります。
「ばれた!」と思いました。隠しているつもりの感情は、思った以上ににじみ出てしまうのです。

「これ以上引きずっていたら、わたしは幸せになれない」。
そう心の底から思えた日が、わたしの転機でした。

離れるための準備は、「環境」

親子の問題は、自分の根っこに関わる濃いテーマです。意志の力だけで断ち切ろうとしても、なかなかうまくいきません。

必要な準備は、安心していられる場所=環境だとわたしは思っています。

それは親でなくてもいいのです。友人でも、先生でも、近所のお兄さんでも。「この人はわたしを分かってくれる」と自分が思える人がひとりいれば、十分です。

そして、その人からもらった気持ちを、ちゃんと栄養として受け取ること。
この世界には優しさも美しいものもたくさんあるのに、傷ついている時期は、それを受け取る力ごと弱ってしまっているものだから。

今夜できる、小さなワーク

紙と手帳を用意して、順番に書いてみてください。

  • - もし今、親子のことで悩んでいるなら、「今日でやめた」と決める
  • - 決められないなら、この問題のゴールを決める
  • - ゴールも決められないなら、自分が離れられない理由を考えてみる
  • - 以上を踏まえて、この一か月でやることを書き出す

簡単なようで、結構むずかしいと思います。だからこそ、書いたページは消さずに残しておいてください。あとで読み返すと、自分の歩いた距離が見えます。

何歳からでも、やり直せます

親子の悩みは、本気で離れると決めた日から、すこしずつ形を変えはじめます。

あの頃のわたしがそうだったように、どんなに濃い悩みにも、出口はひとつではありません。
あなたが本当の幸せに出会えるよう、今夜もエールを送ります。最後はハッピーエンドにしましょう。