「頭の中に霧がかかったみたいで、何も決められないんです」
悩みごとを長く抱えていると、考えはまとまらず、未来も見えなくなっていきます。
今日は、彩石屋のスタッフのひとりが仲間に加わる前に体験した、「もやもやした霧が晴れた日」のお話をさせてください。
なぜか「行きたい」と感じた日
そのスタッフは当時、いろいろなことに悩みに悩んで、自分の未来に希望を見いだせずにいたそうです。
そんな中で迎えた、お店の面接の日。
本人いわく「面倒くさがりの自分が、面接にうきうきして向かうはずがない」のに、なぜかその日は不思議と心が弾んでいました。
行ったこともない場所、会ったこともない相手。
それでも「直接会って話せば、きっと何か新しい発見がある」という、根拠のない確信があったといいます。
理屈では説明できないけれど、心が「行きたい」と言っている。
そういう直感は、自分の本音を映す鏡なのかもしれません。
初対面なのに、悩みを見抜かれた
面接の席には、店主と先輩スタッフがいました。
いちばん記憶に残っているのは、初めて会って、初めて交わした会話が「あなたはいま、何に悩んでいるの?」と問いかけるような内容だったこと。
事前のやりとりで悩みを打ち明けたわけでも、悩んでいる素振りを見せたわけでもありません。
それなのに、自分のためになる問いを、次々と投げかけてもらえた。
「ああ、この人は分かってくれる人だ」
そう感じた瞬間、面接の最中だというのに、何度も目頭が熱くなったそうです。
「話す」は「放す」
結局その面接は、約1時間の「お悩み相談会」になりました。
本人はすっかり面接ということを忘れて、採用か不採用かを聞かないまま帰ったというから、思わず笑ってしまいます。
でも帰り道、心は来たときよりずっと軽くなっていました。
誰かに話すと、頭の中でぐるぐる回っていた霧のような悩みに、輪郭がついてきます。
言葉にして口から放した分だけ、抱えていた重さが減っていく。「話す」は「放す」でもあるのです。
ひとりで考え続けても出なかった答えの糸口が、聴いてもらうだけで見えてくることがあります。
霧の中にも、道はある
このスタッフの霧が晴れたきっかけは、特別な出来事ではありません。
直感にしたがって一歩動いたことと、目の前の人に心を開いて話したこと。そのふたつだけでした。
霧の中にいるときは、出口なんてないように見えます。
でも霧は、視界をさえぎっているだけで、道そのものを消したわけではありません。歩ける道は、霧の向こうに何本も伸びています。
もしいま、もやもやの中にいるなら、信頼できる誰かに話してみてください。
あなたの霧が晴れる日も、きっと近くにあります。
この記事は、2022年3月の旧彩石屋コラム「彩石屋との出会い〜その2」を、現在の彩石屋の考え方(自己理解・心身のセルフカウンセリング)に合わせて書き直したものです。