あんなに好きだった映画や趣味が、最近ちっとも面白く感じない。
そんな自分に戸惑って、「私、疲れているのかな」と不安になったことはありませんか。

実はそれ、心が枯れたのではなく、価値観が変わり始めたサインかもしれません。

「好き」が変わるのは、裏切りではない

わたし自身にも、覚えがあります。

以前は当たり前だった習慣や、夢中になっていた楽しみが、どんどん遠くへ行ってしまう。
あんなに好きだったのに、もう全然心が動かない。

最初は寂しさのほうが大きいのです。長年の「好き」を手放すのは、古い友人と疎遠になるような心細さがあります。

でも、よく考えてみてください。
「好き」が変わったのは、あなたが成長した証拠です。
昔の服が小さくなるのと同じで、心のサイズが変わっただけ。誰も裏切っていません。

心は、頭より先に知っている

お店でも、これを確かめるような場面によく立ち会います。

ご来店された方が、理由をうまく言葉にできないまま、ある石にすっと手を伸ばされる。
あとからお話をうかがうと、その石が、ちょうど今のご自身の節目と重なっていることが多いのです。

頭で説明できるより先に、心は変化に気づいている。
「なんとなく惹かれる」「なんとなく違う」という感覚は、自己理解の入り口になります。

無理に理由を探さなくて大丈夫です。まずは「私、変わり始めているんだな」と認めてあげてください。

屋久杉に学ぶ、ゆっくり変わる強さ

変化というと、何かを一気に変えなければと焦りがちです。
そんなときに思い出したいのが、屋久島の杉の話です。

屋久島は花崗岩の上に薄い土がのっただけの、栄養の少ない島。月に35日雨が降る、と喩えられるほど雨の多い土地だそうです。

杉の寿命は一般に300年ほどといわれますが、屋久島には樹齢1000年を超える杉が今も生きています。
厳しい環境だからこそ、ゆっくりゆっくり、目の詰まった強い幹が育つのです。

人の変化も、これと同じだと思うのです。
急に伸びなくていい。少しずつ入れ替わっていく価値観が、目の詰まった「自分軸」を育てます。

緩めて、受け入れる準備を

古い「好き」が抜けていくときは、無理に埋めなくて大丈夫です。

  • - 面白くなくなったものを、義理で続けない
  • - 空いた時間を、あえて空けたままにしておく
  • - 「なんとなく気になる」ものに、小さく触れてみる

握りしめた手を緩めると、新しい流れは自然に入ってきます。
そして、変わっていく中でも大切にしたい人や習慣があれば、それはまた結び直せばいいのです。

まとめ——色あせは、次の彩りの前ぶれ

好きだったものが色あせる日は、心の衣替えの日です。
寂しさは、それだけ深く好きだった証拠。ちゃんと味わってから、そっと棚に置きましょう。

ひとつの「好き」が終わっても、あなたの人生の彩りが減るわけではありません。
生きている限り、新しい「好き」と出会う道は、いくらでも目の前に伸びています。

変わり始めた自分を、どうか面白がってあげてください。