お守りにする石を選ぶとき、名前や意味の一覧表とにらめっこしていませんか。
「この石は何に良いのか」を調べるのも楽しいものです。
でも長く石とお付き合いしていると、表には載っていない大切なことに気づきます。今日はそれを教えてくれた、あるお客さま親子のお話です。
「この石、役目を果たしてくれていますか」
あるとき、娘さんを連れたお客さまがご来店されました。
娘さんのお守りになる石を探したい、とのこと。手持ちの石も持ってこられて、こう尋ねられました。
「この石は、ちゃんと守ってくれているでしょうか」
その石を手のひらにのせて、じっくり向き合ってみました。
あくまでわたしの感じ方ですが——その子からは「守る」という気配がまるでしないのです。
なんと言いますか、「ボクはボクだよ」と、ただマイペースにそこに居る。
思わず笑ってしまって、そのままお客さまにお伝えしました。
石にも、一つひとつ「らしさ」がある
同じ種類の石でも、一つひとつ表情が違います。
頼もしい子もいれば、おっとりした子も、わが道をゆく子もいる。図鑑の説明だけでは測れない「らしさ」が、それぞれにあるのです。
そして不思議なことに、石は持ち主に似てきます。
犬や猫が飼い主に似る、とよく言いますよね。あれととてもよく似ています。
初めからそういう性格の子だったのか、いっしょに過ごすうちに似てきたのか。
たぶん、両方なのだと思います。気が合うからこそ、その子を手に取ったのかもしれません。
深刻にならない、が選び直しのコツ
さて、そのお客さま。「なんで〜」と笑いながらも、その石を責めるでも、がっかりするでもありませんでした。
「じゃあ、どの子なら良さそうかな」
そう言って、娘さんといっしょに、楽しそうに選び直しを始めたのです。
この軽やかさこそ、お守り選びでいちばん大切なものだと、わたしは思っています。
最後は、感覚のするどい娘さんが「これ」と自分の手で選びました。
先入観にならないよう、わたしは口を出さずに見守って、決まったあとで「その子なら間違いないと思いますよ」とだけお伝えしました。
選ぶ基準は、表ではなく自分の感覚
石の名前や、目に見える美しさだけでは測れないものが、世の中にはたくさんあります。
お守りの石を選ぶときは、意味の一覧表をいったん閉じて、手に取ったときの自分の感じ方を信じてみてください。
「なんだか気になる」「そばに置きたい」——その小さな声が、いちばんの道しるべです。
石とのご縁も、人とのご縁も、正解はひとつではありません。
合わなければ選び直せばいいし、出会いはこれからいくらでもある。そう思えたとき、選ぶことはもっと自由で、もっと楽しくなります。