お金の話になると、胸の奥がすこしざわつく。
誰かの暮らしぶりを見て「いいなあ」と思ったあと、小さなとげのようなものが残る。
もし心当たりがあるなら、今日はわたし自身の、すこし恥ずかしい昔話をさせてください。お金と心の距離が、ふっと縮まるかもしれません。
お金は、感情まで連れてくる
お金そのものは、ただの道具です。あれば物事がスムーズに運ぶ。それだけのはずなのに、実際には手に入れる喜びと一緒に、所有欲や妬みといった感情まで連れてきます。
知恵から生まれたはずのものが、思いもよらない気持ちまで生んでしまう。お金には、そういう怖さもあると感じています。
だからこそ、お金と上手に付き合う鍵は、金額の多い少ないよりも、お金をめぐる自分の心のほうにあるのだと思うのです。
うらやましくて、暗くなっていた10代
わたしは、お金に縁遠い家に育ちました。お小遣いも簡単にはもらえなくて、「どうやったらお金が手に入るんだろう」と考えてばかりの10代。
簡単にお小遣いをもらえる友人たちとの間に、大きな差があるように感じていました。正直に言えば、みんなのことが、結構うらやましかった。
けれど「自分には手に入らないものだ」と卑屈になると、人は陰気になります。当時のわたしを「明るい子」と思っていた同級生は、いなかったんじゃないかな。当然モテないし、存在感も薄い。そんな10代でした。
「こんなんじゃだめだ」が、人生の分岐点になった
あるとき、ふと気づいたのです。こんなんじゃだめだ、と。
そこからは、卑屈な考え方の癖を、ひとつずつ見直していきました。人をうらやむ前に、自分にできることを探す。ないものを数える前に、いまあるものを見る。
考え方を変えるのは、お金がかからず、今日から誰にでも始められます。そして人生を振り返ってみても、あの気づきがいちばんの分岐点でした。先に変わったのは環境でも収入でもなく、わたしの内側だったのです。
心のとげは、こまめに手当てする
とはいえ、生きていれば妬みや不安に引っ張られる日は、誰にでも無数にあります。一度手放したつもりの卑屈さも、疲れているときほどひょっこり顔を出すものです。
だからわたしは、心にたまったものをこまめに下ろす時間を大切にしています。
- - 紙に書き出して、とげに名前をつける
- - 信頼できる人に話して、ひとりで抱えない
- - 石にふれて、ゆっくり深呼吸する
ためこんでから一気に片づけるより、毎日すこしずつ。部屋の掃除と同じです。
お守りとしての、ブラックダイヤモンド
彩石屋でこのお話とともにご紹介したいのが、ブラックダイヤモンドです。
どんな光の下でも揺らがない、深い黒。重たい気持ちをそっと預けるお守りとして、手元に置かれてきた石です。
「いいなあ」のあとにとげを感じた日は、この石にふれて、ひと呼吸。人と比べそうになった自分に気づくための、小さな合図にしてみてください。
まとめ:とげに気づいた日から、変わりはじめている
卑屈になってしまうのは、あなたが弱いからではありません。それだけ「こうなりたい」という願いが、心の中にちゃんとあるということです。
うらやましさのとげに気づけたなら、もう半分、歩き出しています。10代のわたしがそうだったように、心の向きはいつからでも変えられる。生きているかぎり、道は何本でも引き直せます。
この記事は、2022年10月の旧彩石屋コラムを、現在の彩石屋の考え方(自分軸・自己理解・お守り)に合わせて書き直したものです。