「羽ばたきたい! でも、一回着地したかったの……」

店で、あるお客様がそう話してくださったことがあります。
焦って自分でつくったブレスレットが、なんだか苦しくて身につけられない。そのブレスレットを持って、お店に来てくださいました。今日は、その作り直しの一場面のお話です。

「焦ってつくったら、苦しくなった」

じっくりお話をうかがったあと、スタッフが提案しました。
「じゃあ、"着地"のブレスレットをつくりましょうか」

彼女はうなずいて、手元の石を眺めながら言いました。
「うんうん、水晶もキラキラも、なんか違うかも……」

あらあら、ほとんど全取っ替えの勢いです。
でも、それでいいのです。今の自分にしっくりこないものを「せっかくだから」と握りしめている必要はありません。

気になっていた石には、意味があった

彼女がずっと気になっていたのは、トパーズでした。
「でも、前に見たときはお値段がわからなかったから、入れられなかったの」

そのトパーズを探しているうちに、前に見ていたものより表情のよい一粒が見つかりました。
あのとき決めきれなかったのにも、意味があったのかもしれませんね。トパーズに決定です。

お手持ちのアパタイトも加えて、つけてみてもらいます。
「どう? 苦しくない?」「大丈夫!」「おお、よかった」

アパタイトは「自分らしさ」、トパーズは「自立」の象徴とされてきた石です。
気になっていた石が、いま向き合っているテーマとぴったり重なる。店頭では、そんな瞬間によく立ち会います。

羽のチャームと、ピンクオパール

「羽のチャームも入れたいけど、どうしよう?」
「じゃあ、羽の周りをボタンカットの石で挟みましょうか」

愛らしいピンクオパールで羽を挟むと、ブレスレットはあっという間に生まれ変わりました。
ピンクオパールは、自分を肯定する心の象徴ともされてきた石。「へぇ〜」と笑う彼女に、またまたぴったりじゃない?と、ふたりで笑ってしまいました。

まとめ——一旦着地したら、また羽ばたける

フライングし過ぎたら、誰だって疲れてしまいます。
羽ばたく前に、一度着地して足元を整える。それは後退ではなく、次に飛ぶための準備です。

彼女は、いろいろなことに正面から向き合っては心折れ、それでもへこたれずに「自分らしさとは何か」を追いかけている方でした。
話し終えたあとの顔は、すっきりと凛々しくなっていました。

何が正解かは、誰にもわかりません。前を向いたり、後ろを向いたりしながらでいい。
着地と羽ばたきを繰り返せるかぎり、進める道は尽きません。わからなくなったら、また吐き出しに来てください。いつでも待っています。