結婚、妊娠、転職、親の介護。人生の大きな節目を前にしたとき、楽しみなはずなのに、胸の奥がざわざわすることはありませんか。
そのざわつきの正体は、未来への不安だけではないのかもしれません。今日は、わたし自身が妊娠という節目に向き合ったときのお話をさせてください。

変わったのは、暮らしより「見えてきたもの」

赤ちゃんを授かって、自分はがらりと変わっていくのかな。そう思っていたのに、ふたを開けてみると、わたしはあまり変わりませんでした。

いちばん変わったのは食生活です。人のからだをつくる栄養を考えて、毎日ちゃんと食べる。それだけのことが、思った以上に大変で、思った以上に大事でした。

そして、暮らしの変化よりずっと大きかったのが、心の中で起こったことでした。

節目は、蓋をしてきたものを開ける

振り返れば、ずっと自分のこと以外で忙しかった人生でした。仕事のため、まわりの人のため。自分を大事にできていなかった自分に、赤ちゃんを迎えると決めたとき、はじめて正面から気づいたのです。

すると、見ないようにして蓋をしてきたものが、一気に外れました。

無いものにしていたわけではない。でも、見ないようにしてきたもの。それがどんどん押し寄せてきて、正直、しばらく途方に暮れました。

気づいてしまったら、知らないふりはできない

向き合わなければいけないことが、たくさんある。それには覚悟が要ります。

それでも、どこから考えても、ここはこれから先のなにより優先して通るべき道でした。気づいてしまったら、もう知らないふりはできないのです。

これは妊娠にかぎった話ではないと思います。節目のざわつきは、「後回しにしてきた自分と、そろそろ向き合うときだよ」という心からの合図なのかもしれません。

言葉にならない気持ちは、紙の上で探す

このときわたしを助けてくれたのが、昔からの習慣でした。

うまく言葉にならない感覚が湧いてきたら、大きな画用紙に、思いつく言葉を自由に書き出していきます。連想ゲームのように、その感覚にぴたっとはまる言葉を探していくのです。

書き出した言葉を眺めるうちに、「ああ、わたしはこれをずっと後回しにしてきたんだ」と、核心にたどり着くことができました。頭の中だけで考えるより、紙の上に出すほうが、心はずっと整理しやすくなります。

節目は、自分に還るための扉

節目に押し寄せてくるものは、あなたを苦しめるためにやってくるのではありません。やっと自分を大事にする順番が回ってきた、その知らせです。

さて、何から始めようか。そう思えた日から、新しい物語は始まります。蓋の中身がどれだけ溜まっていても大丈夫。生きているかぎり、向き合い直す機会は何度でも、どの道からでもやってきます。