「どうして、わたしばかり」——そうつぶやきたくなる夜を、いくつも越えてきた方へ。
今日は、お店でうかがった、あるお客様のお話をさせてください。

病気や、大切な人との早すぎる別れ。いくつもの困難を歩いてこられたその方が、対話の終わりに口にされたのは、「勲章」という言葉でした。

「戦うこと」がテーマになる人生

彩石屋では、ホロスコープ(出生図。生まれた瞬間の星の配置図)を、自己理解のヒントとして一緒に読み解くことがあります。

そのお客様の図には、「困難と向き合うことを通して、自分を磨いていく」と読めるテーマがありました。

ご本人も、深くうなずいておられました。これまでの歩みは、たしかに平らな道ではなかったからです。

戦い方は、ひとつではない

ここで大事なのは、「戦う」の中身です。

相手を打ち負かす戦い方もあれば、何かを勝ち取る戦い方もあります。けれど、もうひとつあるのです。
相手が喜ぶものを与える、という戦い方。

童話の『北風と太陽』を思い出してください。旅人のコートを脱がせたのは、吹き飛ばす北風ではなく、ぽかぽかと照らす太陽でした。

向き合う力を、誰かを支える方向へ向けたとき、同じエネルギーは「奉仕」に変わります。そのお客様も、ご自分のつらい経験を、同じ思いをする人のために生かしたい、とお話しくださいました。

経験した人にしか、言えない言葉がある

その方は、病気とのつき合いの中で、外見の変化に深く傷ついた経験もお持ちでした。

だからこそ、こう言えるのです。
本当の美しさは、生き方ににじむもの。

順風満帆な人が口にすれば、きれいごとに聞こえるかもしれません。けれど、くぐり抜けてきた人の言葉は、何よりも強い。あなたのつらかった経験にも、誰かをあたためる力が眠っています。

「勲章ですよね」——意味づけは、自分で選べる

対話の終わりに、その方はご自分の歩みを振り返って、こうおっしゃいました。

「ここまでくると、勲章ですよね」

起きた事実は、変えられません。でも、その経験を何と呼ぶかは、自分で選べます。
「傷」と呼べば、隠したくなる。「勲章」と呼べば、胸を張れる。これも、自己受容のかたちのひとつです。

まとめ——あなたの跡は、消さなくていい

つらい経験は、ないほうがよかったかもしれません。それでも、そこを歩いてきたあなたは、いまここにいます。

戦ってきた跡は、失敗の記録ではなく、あなたが生き抜いてきた証。
それを勲章として胸に抱けたとき、これからの道はひとつではなく、いくらでも拓いていけます。生きてさえいれば、道は無限にあるのですから。