お守りを手にしたとき、紐の結び目をじっと見たことはありますか。

実は日本の文化では、「結ぶ」という行為そのものに、深い意味が込められてきました。
今日は、富士山の石の話とあわせて、この「結ぶ」のお話をさせてください。

富士山が世界遺産になった日

2013-06-22、富士山はユネスコ(国際連合教育科学文化機関)の世界遺産に登録されました。

登録名は「富士山—信仰の対象と芸術の源泉」。
浮世絵をはじめ、海の向こうの芸術にまで影響を与え、日本文化の象徴として描かれ続けてきた、類いまれな山です。

その名前の由来には、「尽きない」という意味の「不尽」からきている、という説もあります。
かつて煙や溶岩が絶えなかった姿に、昔の人は「尽きないもの」を見ていたのかもしれません。

「結ぶ」は「尊ぶ」

お守りの結び飾りを思い浮かべてみてください。

日本では、「結ぶ」という行為が、さまざまな場面で大切にされてきました。
人との縁を結ぶ。感謝の気持ちを結ぶ。祈りを込めて結ぶ。

ほどけないように固く結ぶその手の動きは、目に見えない何かを「尊ぶ」しぐさでもあります。
お守りの紐がただの飾りではないのは、そこに結んだ人の祈りが宿っているからです。

富士の石を、お守りとして

彩石屋でこのお話とともにご紹介したいのが、富士山から採れる富士溶岩石です。

信仰と芸術の山として愛されてきた富士の歴史を、そのまま閉じ込めたような石。
「こうありたい」という自分の願いをこの石に結んで、お守りとして手元に置く——そんな付き合い方をおすすめしています。

石は願いを叶える道具ではなく、自分の決意を思い出させてくれる合図です。
ときどき紐や石をやさしく手入れしながら、結んだときの気持ちを確かめてみてください。

自然と結ばれて生きている

富士山の文化も、お守りの結びも、たどっていくと自然への感謝に行き着きます。

わたしたちは自然の恵みの中で生かされていて、その自然をかけがえのない財産として未来に残すために何ができるか。
一人ひとりが考えることが、やがて大きな力になります。

あなたが今日なにかを「結ぶ」なら、それはどんな祈りでしょうか。
結び方も、結ぶ相手も、結び直す機会も——生きているかぎり、いくらでもあります。