新しい職場。新しい役割。新しい環境。
まわりの人はみんな堂々として見えるのに、自分だけが何もできない気がする——。

転職した春、部署が変わった月、子育てのコミュニティに入ったばかりの頃。
あの「自分だけ置いていかれている」感覚に、心当たりはありませんか。

声が、どんどん小さくなっていく

彩石屋にも、忘れられない話があります。
むかし、店で働き始めたばかりのスタッフの話です。

石の知識はほとんどゼロ。それなのに、入って数日でお店を任される日が来てしまった。
隣には、少し先に入っただけなのに接客をそつなくこなす同僚。そして、お客様を惹きつけてやまない店主。

ふたりと自分を比べるたびに、自信は目減りしていきました。
気づけば、接客で話す声がどんどん小さくなっていたそうです。

「声が小さいね」と店主にさらりと指摘されたとき、胸に刺さったのは、図星だったから。
自信のなさは、隠したつもりでも、声の大きさに表れていたのです。

羨む気持ちの正体

そのスタッフが後になって振り返り、はっとしたことがあります。

人を羨むほど、「その人以上にはなれない」と自分で決めてしまっている。

輝いて見える人を見上げているあいだ、わたしたちは無意識に「あちら側」と「こちら側」に線を引いています。
その線を引いたのは、ほかの誰でもない、自分自身。

自分で自分にブロックをかけていた——これが、羨む気持ちの正体でした。

輝いて見える人にも、見えない積み重ねがある

もうひとつ、時間が経ってからわかったことがあります。

眩しく見えたふたりの接客は、生まれつきの才能ではなく、それぞれの努力の積み重ねの結果だった、ということです。

何事も、すぐにはできるようになりません。
試行錯誤して、失敗して、それでも続けた人だけが、いつのまにか「あの人すごい」と言われる側に立っています。

つまり、比べるべき相手は隣の人ではなく、昨日までの自分
今日の自分が昨日よりひとつでも知っていれば、それは確かな前進です。

ブロックの外し方は、小さな一歩

自分でかけたブロックは、自分で外せます。といっても、気合いは要りません。

  • - 「あの人はすごい、わたしはダメ」と思ったら、「あの人は積み重ねた人」と言い換えてみる
  • - できないことを数える代わりに、今日できるようになったことをひとつ書き留める
  • - 声が小さくなっていると気づいたら、それを「自信が減っているサイン」として受け取る

くだんのスタッフも、そこから石のことを夢中で学び始め、やがて自分の言葉でお客様と話せるようになりました。
壁の向こうが見えない日々にも、足元の一歩は積み重なっていたのです。

まとめ——線を引き直すのは、いつでもできる

人と比べて落ち込む日は、誰にでもあります。
それは向上心がある証拠でもあるので、落ち込んだ自分まで責めなくて大丈夫。

ただ、「あの人以上にはなれない」という線だけは、そっと消しゴムで消してください。
その線の先に道がないと決めたのは、過去のあなたの思い込みです。

線を引き直せば、道はそこから何本でも伸びていきます。
あなたの今日の一歩を、彩石屋はいつも応援しています。