石屋のある暮らしー忘れていた私と出会うー

「リアルにこんな男はいないよね」

そう思いながらつい読んでしまう漫画たち。

憧れる世界はバチッとあるけど、現実世界は既婚者とパッとしない男たち。

自分がどれほどの女とも思わないけど、運命の人との出会い方なんて学校じゃ教えてくれなかった。

「そういえばお母さん。お父さんとどうやって出会ったの？」

たまたま同じ研修で出会ってそこからだよ、という母。

たまたまって何？漫画じゃない。

「あやこはどうやって出会えたの？」

うーん。紹介かな？

そこハテナいる？
友人のあやこも自然に出会えているみたい。

何が違うんだろう。普通に友達もいるし、仕事も頑張ってきた。どうやったら出会えるの？難しすぎる、、。

そんな時、ふと飛び込んできた「水晶」の看板。

そういえばここに石屋さんあったかも。

こんな気持ちだしちょっと入ってみようと、暖簾をくぐってみた。

「こんにちは」

お店の中は狭くて、見たことがない石がたくさん置いてあった。

あ。なんか、これ、、、

懐かしい感覚。

そういえばこういう色、好きだったな。

昔の私を思い出した。

石屋さんで、忘れていた自分と出会った。

あの頃は何もかもが新鮮で、次は何が起こるんだろうとワクワクしていた時だった。

今の私は？

起こることを想定して、"もう分かっている"で終わらせて、新しい世界を見ようとしていなかった。

「そんなはずない」

漫画の世界もお母さんの出会いもあやこのたまたまも。
そんなはずはないって、私が信じていないんだ。

久し振りに、何もかもになれるって思っていた時の私を思い出した。

「来られた時より表情が変わりましたね」

石屋のお姉さんからそう言われて、ちょっと楽になれてる自分に気付いた。

目の前の石が、笑っている昔の自分のようで愛おしくなった。

「石はあなたの記憶と繋がる魔法のアイテムなんですよ」

そうなんだ...そうかも。

私もこの気持ちを忘れずにいたいな。

私の中にいる小さい頃の私が無邪気に踊り出した気がした。

石屋のある暮らし

「見える世界は自分で選べる」

ークリソプレーズの話ー

気付いた時には人生に制限をかけてしまっていた。

それは傷付きたくないから。

石の意味はあなたの記憶が決めるもの。

今日の主人公にとってはこれが、勇気を踏み出せる石で、世界をワクワクしてくれる石なんです。

クリソプレーズは不安のない未来を表すような、新芽のグリーンしています。

まだ、この先は自分で作っていけるんだと言わんばかりの、ぴかぴかの状態。

いつしか世界が雲って見えてしまうのを止めてくれる、そんな存在なのかもしれませんね。

目の前の壁が大きいと感じるのは、記憶の何かと比べているから。

知らなければ何も思わないはず。

いつでも、きっと、世界は新しい。

次の物語もお楽しみに